電脳試験との対決(その1)

2000年10月から日本でも TOEFL CBT (Computer-Based Test) が始まりました。紙試験の時とは異なり、1週間前でも電話で受験予約が可能になりました。ただし、このときクレジットカードが必要で、受験の際にはパスポートが必要になります。

TOEFL 2000-2001 Information Bulletin for Computer-Based Testing (Asian Edition) の p.50 に書いてある Sylvan Prometric KK (03-5541-4800) に電話すると、土曜日の予約は2〜3ヶ月先まで一杯で、平日はかなり空いているとのことでした。私は2000年12月6日(水曜日)に予約を入れました。東京は3会場(青山、茅場町、南麻布)あるのですが、最初に空き状況を見てもらった南麻布がOKだったのでそこに決定しました。

電話で受験番号、部屋番号、集合時間、開始時間などを告げられ、それを復誦する形で確認します。受験日までもう1週間しかないので、郵送などによる受験票や試験会場の地図の送付はなくて、地図はホームページの Academic Exam のところを見て下さいと言われました。南麻布の試験会場はテンプル大学日本校のあるところで、日本生命南麻布ビル3Fにあります。

南麻布は新しい地下鉄南北線「麻布十番駅」か「白金高輪駅」が最寄駅になりますが、私は最近、JR田町駅近くの「NECユニバーシティ」で英語研修の仕事をしているので、田町駅まで通勤定期券を持っています。試験当日はJR田町駅で下車し、徒歩で慶應義塾大学前を通り、試験会場に到着しました。

午後1時半集合、2時試験開始でしたが、1時5分に試験控え室に到着。受付の人に、まだ準備ができていないので、あと5分待って下さいと言われました。5分後にさっきとは別の女性(ちょっとタイプ)が現れて、パスポートを見せてくれと言われました。パスポート確認後、誓約書の記入用紙とロッカーのカギを渡されます。試験室にはパスポート以外何も持ち込めないようです。当日持参する必要があるのもパスポートだけです。

誓約書の英文をコピーし、サインして、ロッカーに荷物を入れたり、していると1時半になり私が1番で試験室に案内されました。試験室前のコンピュータ画面で氏名、住所、生年月日を確認し、デジカメで写真を撮られます。この写真がスコアレポートに使われるようです。このとき耳栓も渡されましたが、私は使いませんでした。

試験室は5×4で20台の試験ステーションがある部屋です。私は No.3 を使いました。コンピュータはピカピカ新型の COMPAQ Deskpro のデスクトップマシンで、モニタは17インチ、キーボードはUSキーボード(Windows Keys が付いた103キー)です。空調も適当で、快適な受験環境です。

座席に着き、とうとう試験の始まりです。まず、ETS発行の PowerPrep とまったく同じ Tutorial をこなしていきます。これが終わると、試験本体が始まります。試験の内容は、リスニング30問、ストラクチャー(文法)25問、リーディング55問でした。ライティングのトピックは以下の通りです。

When people move to another country, some of them decide to follow the customs of the new country. Others prefer to keep their own customs. Compare these two choices. Which one do you prefer? Support your answer with specific details.

リスニングは短い会話の問題11問、長い会話とレクチャーの問題が19問でした。短い会話の問題で数問聞き取れなかった問題があり、このとき不正解を出したため問題のレベルが下がり、長い会話とレクチャーの問題が難しくなくなってしまったようです。ここでも数問は間違えたと思います。自分では7割以下の出来だと思いました。

Computer-Adaptive の試験では、最初中間レベルの問題が出題されて、それに正解したかどうかで、次の問題が易しくなったり難しくなったりします。最初の方が肝心で、ここで不正解を出してしまうと、あとで挽回するのは大変になります。

ストラクチャーとリーディングは共に解答に自信ありました。紙試験の時よりも問題が易しく感じました。一番の問題は今回初めて受験するライティングです。試験時間30分はあっという間に過ぎてしまいました。

試験が終了すると(既に午後5時になっていた)スコアをその場で見ることができます。リスニングとリーディングは最終的な成績(0-30)になります。これに対し、ストラクチャーは得点幅が表示されるだけです。ストラクチャーの最終的な得点(0-30)は、ライティングの得点(0-6)と総合されて決まります。例えば得点幅 13-30 の場合は、ライティングの得点が 0 ならば最終得点が 13 に、ライティングの得点が 6 ならば最終得点が 30 になることを示しています。TOEFL CBT の総合点(0-300)は3つのセクションの平均点 x 10 で算出されます。試験後すぐに見ることができる総合点は、ストラクチャーの得点幅に対応して、これも得点幅で表示されます。以下が今回の試験後に表示された得点です。

Listening Final Score23
Structure Score Range13-30
Reading Final Score30
Total Score Range220-277

リスニングの成績が低すぎます。次回の試験までに何か対策を立てなくてはなりません。そしてライティングも問題です。最終的なライティングの成績は、成績表が郵送で届くまで分かりませんが、あまり期待できません。次回の試験までに以下のような参考書を読んで準備するつもりです。

  1. 「TOEFL テスト ライティング 攻略法」宮前一廣著(日本実業出版社)
  2. 「TOEFL テスト パーフェクト ライティング」神部孝著(旺文社)
  3. 「戦略的 TOEFL テスト ライティング」プリンストンレビュー編(SSC)
そして受験してから約3週間後、12月22日(DEC22'00)の消印が押されたアメリカからの航空便で成績表は届きました。First-Class Mail, U.S. Postage Paid, Jamaica, N.Y. とスタンプには書いてあります。期待半分不安半分で封筒を開けてみると、成績表は以下のようになっていました。

TOEFL270

TOEFL CBT の最高点は 300 です。すべてのセクションで 30 を得点し、ライティングで 6 を得点しないと、この 300 点は貰えません。かなり難しそうです。しかし、この 300 点を21世紀は目指したいと思います。

 
電脳試験との対決(その2)

2000年は、ANA(羽田)、NEC(田町)、TPRJ(渋谷)で企業内英語研修や留学準備予備校の仕事をしていましたが、2001年1月から3月の間に、これらの仕事はすべて終了し、この2001年春から新しい仕事を新宿を中心に担当していく予定です。

2001年の仕事の中心は TOEFL になるのですが、仕事を本格的に始める前にどうしても紙試験のときに果たせなかった夢を実現させたいと思いました。昨年の12月6日に最初の CBT 受験をして、リスニングとライティングが準備不足であることが分かり、ライティングに関しては上述の参考書3冊を使って勉強してみました。これらを読んで、どのようなパターンで、どのような内容で書けば、評価が高くなるのかだいたい分かりました。

リスニングに関しては、受験料の安い TOEIC を約1年ぶりに受験して TOEFL の下準備にすることにしました。それで1月28日に第82回 TOEIC を受験したのですが、あまりにも簡単に今回も満点 990 が取れてしまったので、ちょっと拍子抜けです。この試験のために下の問題集1を使ってリスニングの練習をしましたが、これに含まれているのは実際の試験よりもずっと難しい問題です。TOEIC と TOEFL のリスニング問題の一番大きな違いは、音が流れる前に問題と選択肢を読めるか読めないかにあります。この問題集も、音を聞いてから初めて問題と選択肢を読む形で使ったら、TOEFL の受験準備にも使えます。

  1. 「900点突破 TOEIC テスト リスニング 完全制覇」ジャパン・タイムズ
  2. 「TOEFL テスト パーフェクト リスニング」八代英美著(旺文社)
もう1冊 TOEFL のリスニング準備のために使ったのは上の問題集2です。実際の試験とほぼ同じレベルの問題が含まれていて、受験準備に適切です。どちらの参考書もCD2枚付きで、録音状態や読むスピードも文句なしです。

ライティングに関しては参考書3冊、リスニングに関しては問題集2冊を使って受験準備をして、私にとって第2回目の TOEFL CBT の受験日3月29日を迎えました。会場は今回も南麻布のテンプル大学です。試験会場は他も空いていたようでしたが、受験予約の時に希望会場を聞かれて、何も考えずに「テンプル大学」と言ってしまったのは、単に前と同じ会場というのではなく、通勤定期券が「田町」まであるというのでもなく、もしかしたら「あの女性」にまた会えるかもしれないと期待したのかも。

3月下旬とは思えない冷たい雨が降る中、試験会場に到着しました。午後1時前に到着したのですが、午前の受験を終えた人たちと午後の受験を待つ人で受付ルームは既に混雑状態でした。あと驚いたのは、受付や試験官の半分以上が男性であること。前回はほとんどが女性だったような気がします。前回の女性は見当たらなかったものの、受験室に案内してくれた女性がきれい(またまたタイプ)だったので、上機嫌で試験を始めました。

私が1番で試験室に案内されたので、静かな環境で試験を始めることができました。また、今回使ったヘッドフォンは前回のよりもまだましで、前回のように音が割れて聞きにくいことも少なかったように思います。リスニングに関しては、このヘッドフォンの調子とボリュームの調整が大きなポイントを占めることが今回よく分かりました。この環境がよかっただけでなく、さらに今回はリスニングに集中できて、その集中がリスニングパートの間ずっと続いたことが高得点につながったと思います。リスニングの内容はすべて手に取るように分かり、自分の感触としては全問正解でした。

逆に、リスニングで集中力を使い過ぎた分、ここで急激な疲れを感じてしまい、ストラクチャー(文法)セクションで最初のほうは全然問題に集中できませんでした。2問目の問題を数分間考えてしまいました。ストラクチャー終了後の5分間の休憩でトイレに行き、ここで気分を入れ替えて、リーディングではある程度集中力を取り戻すことができました。今回の試験の内容は、リスニング50問、ストラクチャー20問、リーディング44問でした。ライティングのトピックは以下の通りです。

Some students prefer to study alone. Others prefer to study with a group of students. Which do you prefer? Use specific reasons and examples to support your answer.

ライティングに関しては、前回パラグラフを3つしか書かなかったのに対して、今回はパラグラフを4つ書いたので、つまり Introduction, Body 1, Body 2, Conclusion という形にしたので、もしかしたら得点が上がるかもしれません。ライティングの得点は郵送で成績が届くまで分かりませんが、その他のセクションの得点は受験の最後にコンピュータ画面に表示されて、得点は次のようになっていました。

Listening Final Score28
Structure Score Range12-29
Reading Final Score30
Total Score Range233-290

リスニングは感触としては全問正解でしたが、やはりどこかで聞き間違えをして数問ミスしてしまったようです。また、ずっと満点を取っていたストラクチャーで今回ミスしてしまいました。数分間考えていたあの問題は最後に正解が分かったのですが、残りの問題を慌ててやったので、どこかでミスした可能性があります。それとも、正解を出すのに時間がかかり過ぎると減点されるのでしょうか。リーディングは自分の感触どおり満点でした。リーディング問題は前回よりもさらに易しくなったような気がします。そして正式なスコアレポートはアメリカから郵送で4月17日に自宅に到着しました。

TOEFL283

何と!ライティングは今回も 5.0 の評価でした。自分では前回よりもうまく書けたと思っていたのですが、内容と書き方にまだまだ修行が足りないようです。

 
電脳試験との対決(その3)

2001年3月に2度目の受験をしてから長い時間が過ぎました。リスニングとライティングの対策をしてから3度目の受験をしようと思っていたのですが、仕事が忙しいために全然準備はしませんでした。通常の仕事以外に、本の執筆の仕事もあり、同年4月に出版した『鉄人伝説』に続けて、もうすぐ2冊目の本を出版予定です。そんな状況でも、試験に関してアドバイスを求められることもあります。そのときは、ライティングの参考書として以下の本を最近薦めていますが、実は自分ではあまり読んでいません。これにはエッセイの書き方の説明もあるし、何より150以上のサンプル・エッセイが掲載されていることがいいと思います。

  1. Barron's How to Prepare for the Computer-Based TOEFL Essay
休暇を取りすぎたスポーツ選手が試合の勘を取り戻すのに時間がかかるように、英語試験にも試験の勘があるように思います。あまり時間を空けすぎないうちに、つまり試合の準備が出来ていてもいなくても、勘を鈍らせないようにと思い、年末までにもう1度受験しておくことにしました。12月になってから思い立ったので、電話をしてみると既にどの会場も午後は満席状態でした。早起きしての受験はなるべくならば避けたいのですが、仕方がありません。前月中に申込みを済ませておくべきでした。結局、予約が取れたのは、12月27日(木)午前8:30集合、9:00試験開始、中央区新川の茅場町会場です。この会場は NTT のオフィスがほとんどのフロアーを占める「茅場町タワー」の 15F にあります。

試験センター内部に大きな差異はありませんでしたが、会場周辺はまったく異なる雰囲気です。建物の入り口周辺で日本人学生と外国人学生が談笑しているテンプル大学に対して、スーツを着た中年サラリーマンが多い茅場町会場。特に今回は午前中の受験だったので、試験開始が出勤時に、試験終了が昼食時に重なったので、群れをなすサラリーマン諸君に遭遇することになりました。

いつものようにパスポートを見せ、チェックインし、誓約書にサインし、荷物をロッカーに入れ、試合開始を待ちました。少し早めに会場に到着したので、8:30前に試験室に案内されました。その試験室で受験している人はまだ誰もいません。茅場町会場でも、コンピュータは COMPAQ Deskpro のデスクトップマシンで、モニタは17インチ、キーボードはUSキーボードです。リスニングの音は相変わらず悪く、特にヘッドセットに付いている手元のボリュームを大きくすると音が割れて聞きにくくなります。しかし、受験者全員が同じ条件なので文句は言えません。

CAT (Computer-Adaptive Test) は現在の問題に正解すると次の問題は少し難しい問題に、不正解だと次の問題は少し易しい問題になるので、最初の方で不正解を続けてしまうと、レベルが低くなりすぎて、後半で挽回して高得点にするのは困難、だから最初の方の問題は慎重に解答するようにとよく言われます。今回のリスニングは全体的に易しい問題で、特に後半の方であまりにも易しい問題が続いたので、自分のレベルが低く設定されてしまったのではないかと疑いました。同じことは、ストラクチャーに関しても言えます。今回は半分近くの問題が問題文を全部を読まなくても、下線部を見ただけで解ける問題でした。後半の問題があまりにも易しかったので、どこかでミスしたかと疑いました。

リスニングとストラクチャーは易しかったのですが、これとは正反対にリーディングの問題は過去2回とは比較できないくらい難しい問題でした。試験時間70分をフルに使ったのもこれが初めてです。選択肢で迷うものがありました。今回は全問正解できたか自信がありません。今回の試験の内容は、リスニング49問、ストラクチャー20問、リーディング44問でした。ライティングのトピックは以下の通りです。

It is sometimes said that borrowing money from a friend can harm or damage the friendship. Do you agree? Why or why not? Use reasons and specific examples to explain your answer.

これは身近なトピックだったので、Introduction, Body1, Body2, Body3, Conclusion という感じで、パラグラフを5つ書きました。しかし、パラグラフを多くしたからと言って、得点が上がるとは思えません。今回も一般論だけを書いて、特に個人的な体験などは付け足せませんでした。評価はせいぜい 5.0 でしょうか。ライティングの評価は郵送で成績が届くまで分かりませんが、その他のセクションの得点は受験の最後にコンピュータ画面に表示されて、得点は次のようになっていました。

Listening Final Score30
Structure Score Range13-30
Reading Final Score29
Total Score Range240-297

何と、易しく感じたリスニングとストラクチャーでは満点が取れています。これはまぐれかも知れません。そして、極端に難しく感じたリーディングでは、やはりどこかの問題でミスしたようです。そして正式なスコアレポートはアメリカから郵送で2002年1月17日に自宅に到着しました。

TOEFL283

何と!ただパラグラフの数を多くしただけで内容の無いライティングは 4.5 の評価になっています。これは低すぎます。最初の受験から、リスニングは 23 < 28 < 30 と得点が上がったのに対して、ストラクチャー/ライティングは 28 > 27 > 26 と得点が下がっています。その主な原因はライティングの準備不足です。前掲の日本語のライティング参考書3冊は一応読んだのですが、Barron's の参考書は最初のほうをちょっと見ただけです。次回は、もう少しライティングの勉強をしてから受験したいと思います。


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